「電話が鳴り止まない」「予約確認が同時多発」——そんな瞬間こそ、状況の見える化→優先順位→短時間での割り振り→自分の呼吸調整の順で対処すると、混乱を最小化できます。本記事では現場でそのまま使える手順・台本・テンプレをまとめました。
1. まずは“見える化”(60秒)で状況把握

最初の60秒で「いま何件・誰が・何の用件か」を簡単に可視化します。紙でもホワイトボードでもOK。下記だけ書き出せば十分です。
- 待ち件数(例:電話2 / 来店1 / 折り返し3)
- 締め切りが近い順(例:予約時刻まで◯分、クレーム対応、支払関連など)
- 担当者の手が空く見込み(例:A 3分後 / B 5分後)
ポイント:「全部やる」はNG。見える化=捨てる基準を作る準備です。
2. 混雑時の優先順位ルール(緊急度×重要度)

以下のマトリクスで分類し、A→B→C→Dの順に対応します。
区分 | 例 | 対応目安 | 一次対応のコツ |
---|---|---|---|
A:今すぐ・高重要 | 予約時刻が迫る/来店中のトラブル/支払・キャンセル | 即時(0〜3分) | 最優先回線で直接対応。担当者に即パス。 |
B:今日中・高重要 | 新規予約/日付変更/再来店の相談 | 短期(10〜30分) | 折り返し時間を確約しSMSで要点を先取り。 |
C:低緊急・高情報 | 一般問い合わせ/確認のみ | 後回し(60分〜) | FAQや定型文で一次回答→詳細は後送。 |
D:低重要・自動化対象 | 営業電話/重複問い合わせ | 着信制御/後日 | ブロック/一次メッセージへ誘導。 |
3. 実務フロー:30秒で割り振る

- ラベリング:着信/用件にA〜Dのラベルを付与。
- 帯域確保:A専用の窓口・人を確保(他はB以下)。
- 時間の宣言:折り返しは◯時〜◯時と幅で伝える。
- 記録一元化:同じ場所(表・システム)にメモ。二重入力しない。
一次応対のひと言(電話)
「ただいま立て込んでおり、◯時〜◯時の間に必ず折り返します。
ご予約のご希望日時・お名前・ご連絡先をお知らせいただけますか。」
SMS/メッセージ誘導
「折り返し準備を早めるため、ご希望日時/人数/コースをこのままご返信ください。
受付順で手配し、確定後にご連絡します。」
4. その場で整う呼吸法(3種類)

① 4-6ブリージング(副交感優位)
- 鼻から4秒吸う → 口から6秒吐く × 6〜10サイクル
- 吐く長さを長くして心拍を落ち着ける。
② ボックス呼吸(4-4-4-4)
- 4秒吸う→4秒止める→4秒吐く→4秒止める × 4周
- 均等なリズムで集中と鎮静を同時に作る。
③ 生理的ため息(ダブル吸気→長く吐く)
- 小さく吸う→さらに少し吸って胸を満たす→長く吐く × 3〜5回
- 即効で胸の圧迫感・過呼吸の前兆を下げる。
コツ:肩は上げず、背中を広げる意識。視線を少し下げると落ち着きやすいです。
5. パニックを予防する環境づくり

- 共通メモ様式:「お名前/連絡先/希望日時/要件/締切」の5項目で統一。
- 定型文パック:「折り返し案内」「予約確定」「満席時の代替案」。
- 視覚キュー:ホワイトボードでA/B/C/Dと件数を常時表示。
- 道具:ヘッドセット、タイマー(3分/10分/30分)を手元に。
6. チーム連携:合図と言い回し

- 合図(例):🔥=A案件、⏳=折り返し待ち、✅=完了、📅=予約変更。
- 短文共有:「今A2/B1」「A1は私」「折り返し3件10:30〜」
- 交代のひと言:「Aを引き取ります。Bは10分後に回収します。」
7. 3分リセット法(短時間で負荷を下げる)

- 30-30-90:30秒で席を立つ→30秒で肩回し→90秒呼吸。
- 手冷水&水分:手首を20秒冷やし、常温の水をひと口。
- 視線リセット:20-20-20(20分ごとに20フィート先を20秒見る)。
8. やってはいけないNG行動
- 受話器を持ったまま情報探索(手がふさがる→遅延が連鎖)。
- 記録の多重化(紙とチャットと表にバラバラ)。1か所に集約。
- 「すぐ折り返します」と即答(守れない約束は不信の元)。幅で伝える。
付録:台本・SMSテンプレ・メモ欄
一次応対台本(電話)
【名乗り】◯◯(店舗名)でございます。 【状況共有】ただいま混み合っており、折り返しにお時間をいただきます。 【時間提示】本日<◯時〜◯時>の間に担当よりご連絡します。 【要点確認】お名前/ご連絡先/ご希望日・時間/人数(コース)をお願いします。 【安心付与】受付順で確実に手配いたします。ご協力ありがとうございます。
SMSテンプレ(折り返し予約)
【◯◯(店名)】ただいま混み合っております。 折り返しは<◯時〜◯時>を予定しています。 以下をご返信ください: 1) お名前 2) 希望日と時間(第2希望まで) 3) 人数(コース) いただいた順に手配し、確定後にご連絡いたします。
共有メモ欄(コピペ用)
■日時希望: ■お名前: ■連絡先: ■要件: ■締切(予約時刻/返答期限): ■区分(A/B/C/D): ■担当: ■次アクションと予定時刻:
まとめ

- 最初の60秒は見える化、次に優先順位、そして割り振りの宣言。
- 身体は呼吸で整える(4-6・ボックス・生理的ため息)。
- 共通の言い回しと定型文を用意して、チームで回す。
- 約束は幅で伝える。記録は1か所に集約。
混雑は避けられなくても、手順と呼吸で“慌てない現場”は作れます。今日から使える最小の仕組みを、まずは1つだけ導入してみてください。